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CGFグローバルサミット2023:コラボレーションとイノベーションを通じて持続可能な成長を実現

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7月 05 2023

ザ・コンシューマー・グッズ・フォーラム(CGF)グローバルサミット2023において、1,000名を超えるCEOやリーダーたちが京都に結集しました。その舞台は、25年前に京都議定書が署名された格式高い会場です。本年度のCGF参加者たちは、一様にコラボレーションを念頭に置いて臨み、業界で最も困難なビジネスや持続可能性に関する諸問題に取り組む姿勢を見せていました。また、たとえ事業が絶え間ない混乱に振り回される中でも気候変動にプラスの影響を与えるため、サプライチェーンの混乱を抑えるため、そして、自社の収益を伸ばすための具体的なアクションを共に実行する方法について議論しました。

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消費財(CPG)や小売企業には、それを取り巻く数多くの課題が存在していますが、経営幹部レベルのCGF参加者が主な関心を寄せていたのは、次の3つの混乱要因でした。

  1. 購買行動に予測できない変化をもたらす、消費者生活の混乱が今後も続くこと。イベントで発表されたEY & CGFの研究によると、消費者の74%が生活費の上昇を懸念しており、54%が今後6か月以内に生活費が上昇すると予想しています1。生活費の上昇と持続可能性の重要性の変化に伴い、消費者は自分の購買判断や消費に対する全体的な視点を見直しています。さらに、パンデミック後は商品と体験の割合が変化しており、一部の消費者は自分たちの予算に細かく目を配りながら、あるカテゴリーでは中古品を購入し、別のカテゴリーではより高いものに買い替えるなどの判断を行う可能性があります。
  2. 生成AI技術の急速な普及。CPG各社や小売各社は、大きな効果が確実に見込まれるものの導入が難しい、生成AIによるイノベーションという大変動に直面しています。Kearney社のセッション「“Armageddon or AI-Get-On: Can AI Regenerate Consumers’ Trust in Brands?”(大波乱かAIの波に乗るか:AIはブランドに対する消費者の信頼を再生できるか?)」では、消費者の信頼に対するAIの影響という興味深い視点を提供しました。AIを使用するシナリオは状況と地域によって様々ですが、消費者の最大の懸念は人間同士のつながりが失われることとデータプライバシーにあります。しかし、消費者の大部分はAIのもたらす価値の可能性を実感しており、カスタマーサービスの迅速化、コスト削減、商品作成の効率化をその利点の上位に挙げています2。他の技術投資と同様に、全社ベースでAIを導入するにあたっては、顧客にとっての価値は何か?様々な使用状況における顧客の期待や懸念は何か?など、顧客に焦点を当てることが求められます。最後に、ブランドがAIを使用する際は、その使用がブランドのミッションと一致し、消費者の長期的な信頼に寄与できるものであることが重要です。
  3. 働き方の変化。内外両方の要因により、組織レベル全体での、またパートナーとの間でのビジネスの取り組み方を変化させる必要性が高まっています。企業はもはや技術の導入において消費者をリードしてはおらず、消費者と歩調を合わせようとしています。そのため、ビジネスモデルを採用するためには、俊敏に動き、さらなるデジタル機能を導入し、関心を集め続けなければなりません。さらに、気候変動のプレッシャー、増え続けるデータ要件、取引相手からの継続的なデータフローを維持する必要性が更なる変化を促しています。各社はエラー回避のためにプロセスを再検討しており、これがデータ管理の人材に大きなプレッシャーを与えています。ダニエル・ロドリゲス氏(FEMSA社CEO)は、「主な課題の一つは、自社を消費者よりも早く進化させ、変革させるにはどうするか、という点です」と述べています1

 

業界全体での大規模なアクションの推進

この混乱が継続する中、影響を受けるCPG各社や小売各社は、革新的で事業を構築するアイデアや、社内や企業横断での取り組みの新たな方法を模索しており、事業の変化を継続させ、消費者の期待を満たし、持続可能な目標を達成させようとしています。

イノベーション

カンファレンスにおいては、今日の変化を推進する技術的なイノベーションについての対談が複数行われました。AIの迅速な導入に役立つ様々なユースケースが利用できるようになりましたが、価値を確保し、信頼を維持するためには、AIの使用は適切なコンテクストの下で行い、適切なレベルで関与していく必要があります。

IBMのセッション「When Sustainability Isn’t Enough(持続可能性が不十分な場合)」では、登壇者が、持続可能性の目標へ向けた実務がイノベーションの推進要因となっていることを共有しました。彼らは、テクノロジーをより頻繁に活用することで、事業目標と持続可能性目標が運用できるようになった経緯を共有しました。企業が持続可能性の運用実現のために投資を計画している先進テクノロジーの上位2つは、自動化(71%)とデータおよび高度なアナリティクス(69%)です3。現在、企業のリーダーたちは持続可能性目標からの成果を期待しています。そのため、各社が有意義で測定可能な成果を達成するには、持続可能性を自社のDNAに組み込む必要があります。

持続可能性による売上増加や費用削減の機会にかかわらず、顧客を常に中心に置くことが大切です。変化に素早く対応し、新しい機会に適切に対処するには、組織が俊敏である必要があります。消費者中心の姿勢と技術的変化の価値に対する理解がなければ、あまり重要ではない技術を導入してしまうことになるでしょう。

コラボレーション

CGFの新共同会長であるフランス・ミューラー氏(Ahold Delhaize社長兼CEO)とディルク・バン・デ・プット氏(Mondelēz International会長兼CEO)の両氏がリードしたセッションでは、CGFの影響力を高めて業界での前向きな変化を生み出す必要性について議論しました。これには、すべての企業が力を合わせ、上述の課題を克服する必要があります。成功するためには、バリューチェーン全体でソリューションを統合しなければなりません。

彼らのセッションでは、業界全体での商品データの向上の重要性が強調されました。CGFは、GS1の規格とイノベーションへの参加と採用を推奨しています。ひとつめはVerified by GS1で、世界で登録された7つの明確な商品属性を使用することをブランド各社に義務付けるものです。もうひとつはGlobal Data Modelで、一貫性のある商品属性のセットを確立し、データ品質に取り組み、データ共有時の非効率性を低減するものです。またCGFは、2027年に2次元バーコ―ドの導入を見据えています。これにより包装上のコードを1つのQRコードにすることで乱雑さを低減し、顧客体験、POSでの会計処理、ビジネスプロセスを向上します。

 

イオンネクストとStibo Systemsによる共同講演

バラット・ルパーニ氏(イオンネクスト代表取締役社長)が、Stibo SystemsのCEO、エイドリアン・カーと共に、自社のデータマネジメントの歩みについて議論しました。「日本におけるデジタルシフト:イオンネクストが先進テクノロジーを使用してビジネスを変革し、持続可能な成功を実現する方法」と題したセッションでは、ルパーニ氏より、食料品のEコマースがパンデミック後に急速に成長した様子や、日本における便利な食品配達に対する消費者のニーズについて説明されました。市場をリードし、このような消費者のニーズに応えるために、イオングループは、自社のイノベーション計画の一環としてデジタルシフトを進めてきました。

「イオンネクストとチームは、最先端のテクノロジーに基づいた新たな自宅直配のEコマースサイトをイオンのために構築しています。イオンネクストのバラット・ルパーニ氏と素晴らしいセッションを持ち、彼がこのビジネスを立ち上げるために議論を重ねてきた課題やデータについて話し合いました」とカーは述べています。

イオングループの子会社であるイオンネクストは、このイノベーション計画の実施において、日本の消費者に向けた次世代のオンラインマーケットプラットフォームの立ち上げという重要な役割を担っています。ルパーニ氏は、「私たちは最近、日本市場向けコンシューマーブランドである『Green Beans」の情報を公開しました。この夏にサービスを開始する予定です。私たちは、若く忙しいご家族の日常生活をサポートする、魅力的な食料品のオンラインショッピング体験を提供する予定です。ショッピングを変えるという私たちの目標は、手軽さ、信頼性、そして選択肢という3つの柱に基づいています。」と述べました。

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イオンネクストは、Ocadoの最先端カスタマー・フルフィルメント・センターが求めるデータを特定することから、デジタルシフトへの道を歩み始めました。イオンネクストが実店舗や標準的なEコマースモデルの先を行くには、ここで管理する商品属性の数を大幅に増やすことが必要でした。また、当時使用していた商品情報管理(PIM)システムは要件の変化に対応しきれませんでした。この時、イオンネクストは、商品データは不可欠な成功要因であり、会社に盤石なPIMが必要だということを認識したのです。

イオンネクストは、Stibo Systemsの商品マスターデータ管理を導入し、下流のあらゆるアプリケーションのニーズに応えられるようにデータの付加価値を高め、一貫性のあるデータを顧客向けのウェブサイトや倉庫管理ソリューションに共有しています。現在は、顧客と日本の食料品市場に対して独自性と価値あるものを提供できる、理想的なポジションを築いています。

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CPGまたは小売業界のいずれにおいても、今後数年は大きな混乱が見込まれます。企業の基盤となるビジネスデータの品質が低い場合やそれが使用できない場合には、大きな外的要因による諸問題、顧客の期待の変化、新たなテクノロジーの急速な採用が相当な課題となるでしょう。

Stibo SystemsはCPG企業、小売企業、CGFコミュニティとの規格に関する共同討論に参加しています。当社の業界知識は、革新的なマルチドメインマスターデータ管理プラットフォームと共にお客様の規制遵守に役立ち、コラボレーションを通じて効率を向上させ、革新的で持続可能性に配慮した成長を実現します。

当社のSBTi(科学的根拠に基づく目標設定イニシアチブ)のネットゼロ・コミットメント企業の社会的責任について、詳しくはこちらをご覧ください。

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出典:

1 “Pursuit of Harmony in Turmoil: Working Together to Make a Difference,” EY & CGF, June 2023, pg 6.

2 “Generative AI Study,” Kearney Consumer Institute, May 2023 (cited at CGF Global Summit 2023).

3 “When Sustainability Isn't Enough,” IBM Institute for Business Value, 2022.


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Brian ClusterはStibo Systemsの消費財および小売業界を担当するインダストリー・ストラテジー・ディレクターです。戦略の共同作成、分析の提供、ビジネスプランやデジタルトランスフォーメーションの構築などの分野で25年を超える経験があります。Stibo Systemsでブライアンは、多様な業界の専門知識を有効活用して、フィールドチームに方向性と戦略を提供し、マスターデータ管理ソリューションの顧客価値向上をサポートしています。また、ザ・コンシューマー・グッズ・フォーラムへ頻繁に寄稿しており、その記事はConsumer Goods Technology、Multichannel Merchant、Total Retail、Footwear News、Center for Data Innovationなどで公開されています。

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