マスターデータ管理(MDM)とは、営業・マーケティングや経営上の戦略に従って、データの整理や分類、ローカライズ、エンリッチメント、同期化を行い、データを一元管理する基幹プロセスを指します。
マスターデータ管理には、商品、顧客、サプライヤー、ロケーション、アセットのほかに、事業を促進する上で必要となる様々な情報源が含まれます。
単一のレポジトリでマスターデータを効率的に管理すれば、一元化された信頼性の高いデータを使用できるようになり、データサイロによる業務のムダを解消して、コストを節約できるようになります。
また、商品、顧客、店舗/ロケーション、従業員、サプライヤー、デジタルアセットに関するデータの識別・関連付け、シンジケーションを通して、包括的な視点からビジネスの取り組みを促進できます。
MDMを活用すると、ERP、CRM、eコマースシステムなど、すべてのシステムのデータを連結し、一元化して共有できるようになります。 その結果、データを包括的に俯瞰できるようになるのです。 顧客の購入履歴から、製品の在庫状況やサプライヤーとのやりとりなど、すべてを把握できるようになります。
MDMのメリット:
様々な部署や事業部に分散されているマスターデータを一元化します。
組織データや業務データを連動し、業務効率化を実現します。
社内外のグループのスムーズな協働を促します。
データから得られた洞察や知見をもとに、カスタマーエクスペリエンスを向上し、業績を上げることができます。
データ処理の自動化・効率化を通してリソースを節約できます。
GDPRなどの規制遵守を徹底し、リスクを軽減できます。
MDMソリューションの導入をご検討中の方や、導入を決定したもののどこから着手すればいいのか悩んでいたり、現在使用中のMDM機能を更新する必要がある方は、この3 つのステップを参考にしてみてください。
ビジネスが成長するにつれて、IT環境は複雑化していきます。 買収、新規市場や海外市場への参入に伴い、複数のシステムやアプリケーション、テクノロジーを導入するからです。 分散されたIT環境では、データ管理が大きな課題となります。
マスターデータ管理(MDM)を活用すれば、効率的にデータを管理してデータ品質を向上できるだけでなく、データ分析を通して有益な洞察や知見を得ることができます。 MDMは、データ、人材、業務プロセスをつなぎ、データ品質を向上して事業目標を達成する上での大きなカギになります。
ガートナー社の最新アンケート調査によると、不良データに起因する企業の平均損失額は、2016年には推定970万米ドルだったのが、2017年は推定1,500万米ドルに増加しています。
Demand Gen社の報告書によれば、85%の企業のデータベースには、10〜40%の不良データが含まれており、62%の企業は、 不完全・不正確なデータが20〜40%を占める見込み客のデータをいまだに使用していることが明らかになっています。
マスターデータ管理の役割は、データサイロを解消し、一元化されたデータを管理、共有、修正することです。 マスターデータ管理を活用すると、以下のメリットがあります。
「ケロッグ社の実装におけるユニークな点は、初めからグローバル事業を展開していたことです。MDMソリューションの比較検討の際には、グローバルビジネスにおいて不可欠な多言語対応や、市場に応じたローカライズが可能かどうかを重視しました。」グローバルディレクター ITマーケティング | The Kellogg Company
マスターデータとは、共通するデータを一元化してまとめたものですが、その種類は多岐にわたります。 様々な部署で重複したデータを管理していたり、データの定義が曖昧なままに保存されていることも少なくありません。
顧客マスターデータ管理(CMDM)
CMDMを通して顧客データを一元化すると、デジタルビジネスやIT事業を促進できるだけでなく、顧客が求めているエクスペリエンスを提供できるようになります。 CMDMを通して、様々な顧客データを統合し、データクレンジングやエンリッチメントを行うことにより、これまでにない斬新な方法で顧客への理解を深めることができるのです。 顧客セグメンテーションや、パーソナライズされたカスタマーエクスペリエンスを通してビジネスを促進するための基盤を築くことができます。 さらに、ガバナンスや法規制の遵守(コンプライアンス)も簡単に強化できるのです。
商品マスターデータ管理(PMDM)を活用すると、信頼性の高い、一元化された商品データを作成できます。 全社レベルで商品データの収集、管理、共有を行うことにより、一貫性のある正確なデータをシステム、社員、取引先にタイミングよく提供することができるのです。
MDMは、様々なデータを連動し、ビジネスのあらゆるポイントで提供するための基幹機能を提供します。 高品質なデータを全社で共有できるため、ビジネス戦略を大きく刷新することができるのです。
データ収集
隔離システムに格納されているデータを統合し、全体像を俯瞰できるようになります。
プロフィール
様々な情報源を統合して、新しい情報を作成できます。
データ保護
データの所在地を明確に把握できるので、データをより簡単に保護できるようになります。
データクレンジング
他のシステムでも簡単に使用できる、正確な構造化データを生成します。
データ共有
データの整合性を向上し、統合することにより、スムーズな協働を実現します。
複雑なビジネス課題をしっかり把握するほど、マスターデータ管理ソリューションを的確に選択できるようになります。 ここでは、MDMプロジェクトを成功へ導くための7つのステップをまとめました。
戦略を立案し、MDMに着手する前に、次の4つの事項を考慮するようにしてください。
ビジネスケースの構築
大規模なITプロジェクトには、多くのステークホルダーや要因が絡んでくるもの。ビジネスケースを構築する際には、以下のガイドを参考にしてください。
企業理念
事業目的に沿って計画を立てるようにしましょう。 ロードマップを作成する際には、克服しなければならない課題を明確にしてください。
最適なアプローチの選択
導入オプションを検討します。 例えば、段階的なアプローチや、アジャイルなアプローチから最適なものを選択します。
ビジネス価値の数量化
企業にとっての成功を定義し、それを達成するための現実的な指標を明確に設定して、結果を評価します。
データ管理を成功させるカギは、マスターデータ管理ソリューションにあると確信したところで、意思決定者が納得しなければ話になりません。 様々なステークホルダーや考慮事項が絡んで来ることから、ビジネスケースを上手に構築するためのガイドを作成いたしました。ぜひご利用ください。
下記の点を目指し、マスターデータを上手に管理して、有益な洞察や知見を得ることで、顧客に優れたサービスを提供し、業績を上げ、法規制の遵守を徹底して収益を増加することができます。
構築
顧客がどのように問い合わせを行っても、シームレスなカスタマージャーニーを提供します。
準備
一般データ保護規則(GDPR)に向けた業務プロセスの改善
パーソナライズ
顧客中心のエクスペリエンス、製品、サービスを開発
イノベーション
IoT(モノのインターネット)を活用してイノベーションやAI開発を促進し、ビジネスの意思決定をサポートします。